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みんなみすべくきたすべく

原作の持つ力

               448ステンドグラスj

( 「レ・ミゼラブル」福音館古典シリーズから続き)
(承前)
  暗い、重い、という印象の強い、ユゴーの原作「レ・ミゼラブル」も、読み手によっては、深い意味でのハッピーエンディングと捉えられているのかもしれません。

 それに比べ、ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」の結末は、万人が見ても、未来に託され、昇華されたハッピーエンディングに変化しています。これは、もちろん、娯楽として生まれたミュージカルだからともいえますが、見方を変えると、「昔話」が時を経て、細部が変化していく過程にも通じるのではないかと思います。一番伝えたいことが、形を変え、時代を越え、それぞれの地域、言葉で伝わって行く。フランス人ユゴーの原作は1862年、ロンドン初演のミュージカルは1985年・・・と、百年余。一部の人のものでしかなかったユゴーの原作自体、挿絵が加えられ増やされ、そして、各国の言語に翻訳される。長い間、昔話が口承だった時代から考えると、文字だけでなく、媒体も一気に増えた現代なら、ユゴー原作が、もっと変化していくことも考えられます。

 それは、ひとえに、原作の持つ力なのだと思います。ユゴーが凄い。原作こそ、唯一無二のものだと言いきる人も居るのかもしれません。そんな固いこと言わないで、原作は原作。ミュージカルはミュージカル、映画は映画で、楽しめるのが、ユゴーの時代とは異なる現代の楽しみ方ではないでしょうか。現に、ユゴーを愛読する娘は、ミュージカル映画の結末に喜び、俳優たちの魅力を熱く語り、その上で、ユゴー原作の「レ・ミゼラブル」の面白さも熱く語るのです。(「挿絵」に続く)

☆写真は、英国ケンブリッジ大学のいずれかのチャペル

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