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お伽草子

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 再度、突然ですが、初めて六本木に行きました。寄り道もせず、サントリー美術館の「お伽草子展」(~2012年11月4日まで)を見に行きました。

 石山寺縁起絵巻の後で見たので、その力量の差は歴然でした。それもそのはず、片や、歴史あるお寺のお宝。片や、庶民とまではいかなくても、ずいぶん民間にまで流布した絵巻物。ま、いわば、下手な絵もあるのですが、そこはもう歴史を乗り越えて来た価値だけで見応えは充分。思わず笑ってしまう愉快なタッチのもの、センダックもびっくりの百目鬼夜行や、ネズミ等の小動物もの。説話でなくお伽話に近づけば近づくほど、軽やかで自由です。絵師の絵心が、童心に帰るのか、伸び伸びしています。

 中でも、ネズミや猿が繰り広げる結婚譚は、可笑しいです。写真は、サントリー美術館所蔵の「鼠草子」(室町~桃山)を現代語に訳して、漫画の吹き出しのように会話や名前を書き込んでいる絵本です。この絵本は、印刷上の問題とは言え、やっぱり、四角い吹き出しにしてしまうと、元々の絵柄を台無しにしてしまっています。・・・・という問題点があるにはあるのですが、ちっとも、読めない絵巻の文字にイライラしているより、書かれている内容が、よくわかります。

 写真では、よく見えないので、参考までに、彼らの名前を書きますと、左から「角介」「穴掘りの左近尉」「黒眼の牛の助」(ほら!ちょっと眼が大きいでしょ!)「土掘りの孫助」(よーく見ると、土が掘りやすそうな左手が描かれています)「穴惑いのひょんの助」「口取りの平内」「源助」「桁走りの猿千代」「縁刺し与六」「穴好きのぬた右衛門」「物喰いの悪太郎」・・・まだまだおかしな名前、もっともらしい名前が出てきます。

  お伽草子は、時代が進むと絵巻物から冊子にかわって行くのですが、その主人公には、小動物、特に、鼠の嫁入りを中心として鼠が主人公になるものも多いようです。
  このことを、瀬田貞二は「落穂ひろい」で、「・・・子どもの絵本のモチーフに、これほど鼠ばかりが親しくとりあげられたことには、いくつかのわけがありましょう。まず、十二支のはじめにあたる年まわりの、家内に住む繁殖の主であり、「嫁が君」などと親しまれて、福神大黒の眷族(けんぞく)と信じられたために、よろず繁栄を願う縁起かつぎの民衆が、この活発な小動物を主人公として、その働きと多産と繁栄とをのべて、それにあやかろうと思ったにちがいありません。」・・・「人間の結婚生活などを直接描くよりは、かわいい小動物に見立て、なぞらえるほうが、露骨でなく、図示できる点があって、歓迎されたのでしょう。」と説明しています。

*「落穂ひろい―日本の子ども文化をめぐる人びと」上下 (瀬田貞二 福音館書店)
☆写真は、「鼠草子」(サントリー美術館 編集・発行)

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