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ドラクロア美術館

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(2012倫敦巴里39)
(承前)
 パリのドラクロア美術館は、ギュスターブ・モロー美術館と同じように、個人の美術館ですが、作品が溢れかえっているわけではありません。多分、このフランスの国民的画家ドラクロア(1798~1863)の大作は、ルーブルなどにあるのでしょう。この元住居には、デッサンやもう少し小さい作品がありました。ユーロになる前のフラン紙幣に、彼の「民衆を導く自由の女神」という絵が描かれていたのを見たことがあります。ルーブルにある有名なこの絵は、1830年のフランス7月革命を描いたもので、いわゆる自由の女神とされる女性が、倒れている人を踏み越えて、フランス国旗を掲げ進んでいく絵です。高校世界史の教科書に出ていたと思います。それに、何年か前、日本で、展示された時、記念切手になっていました。ごくごく最近では、日本の某保険会社の広告にパロディ化されて使われていました。

 ドラクロアは「民衆を導く自由の女神」等の大作のイメージが先行していましたが、この美術館では、時代を反映していない作品に、その魅力を見出しました。特に、ルーブルにある「甘える虎」という作品のデッサンや、飼い猫のデッサンなど、確かな眼を持つ画家の作品を、ゆっくりと鑑賞できました。それで、素養のない鑑賞者として、一番、ときめいた作品は、彼の若い頃の自画像でした。うーん、なかなか男前。

 ゾラは、「制作」の中でセザンヌと思えるクロードにこんなことを言わせています。
≪・・・ドラクロアは、老いたりといえ、堂々たるロマン派のライオンだ。色調を燃え上がらせるまさしく魔術師だ!それにあのエネルギー!もし、彼に自由にやらせたら、パリ中の壁を塗りつぶしかねないぜ。奴のパレットは沸騰し、あふれている。彼の描くのは、幻影風景だとは、おれももちろん承知しているが、なあに、それも仕方ないことだ。とにかくおれをぞくぞくさせるし・・・・・≫
*「制作」(エミール・ゾラ 清水正和訳 岩波文庫)

☆写真上下:パリ サン・ジェルマン・デ・プレ界隈をちょっと入った、見過ごしそうな場所に、このドラクロア美術館はありました。(撮影:&Co.H)

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