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貴婦人と一角獣

                 334中世美術館j
(2012倫敦巴里36)(承前)
  パリ、カルチェラタンの雑踏、すぐそばにありながら、クリュニー中世美術館に一歩足を踏み入れると、パリの喧騒から程遠い静かな世界に入ります。ここは、ローマ時代からの遺跡も残る元修道院だった場所です。  さらに、歩を進め、薄暗い円形の部屋に入ると、ああ、「貴婦人と一角獣」のタペストリーが・・・
333貴婦人と一角獣j
 「貴婦人と一角獣」のタペストリーは全部で6枚あります。
 「味覚」という題の一枚は、貴婦人が侍女の差し出すドラジェ(砂糖菓子)をつまもうとしています。また貴婦人の足元では、猿が、すでに何か食べています。
 「聴覚」という題の一枚は、貴婦人が小さなオルガンを弾いて、侍女は、ふいごを押して手伝っています。
 「視覚」という一枚は、貴婦人が手鏡を持ち、その鏡には一角獣が映っています。そばにいるライオンの視線は、貴婦人や一角獣の方ではなく、彼方のようにも見えます。
 「嗅覚」という一枚は、貴婦人が侍女のお盆から花をとり花輪を作っています。後ろで、猿は花の匂いを嗅いでいます。
 「触覚」という一枚は、貴婦人が片手で旗を持ち、片手で一角獣の角に触れています。猿は鎖でつながれています。

 以上の5枚が並んで展示され、その向かい側、5枚のタペストリーと向き合うように、掲載した写真のタペストリーが一枚掛けられています。
 これには、貴婦人の後ろのテントに「我が唯一の望みに」と書かれ、貴婦人は、身につけていたネックレスを外し、自ら宝石類を侍女の持つ箱に入れようとしています。(反対に、これから身につけようとしている?)
 このタペストリーの解釈には、様々な説があるらしく、例えば、五感から来る情熱や欲求から離れ、判断力や理解力など人間の分別というものを表現しているという解釈、あるいは、これから結婚あるいは、宗教的な生活に入るという解釈など・・・

 いずれにしても、その謎めいた意匠もさることながら、6枚、どの一枚にも、小さな花々が描かれ、小さな動物たちが集っています。このように、タペストリーの平面を生かし、花々や小動物が描かれることを千花模様(せんかもよう ミル・フルール)といい、その愛らしい世界を見るだけでも楽しいものです。ほら、他にも見たことあるでしょう?(続く)

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