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ギュスターブ・モロー美術館

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(2012倫敦巴里32)
(承前)
 ギュスターブ・モローの「龍と闘う聖ゲオルギウス」は見られなかったにしても、ギュスターブ・モロー美術館は、ぜひ行ってみたかった美術館です。この個人美術館は、作品の展示位置や、住居部分の家具調度に至るまで、生前のままにするようにというモロー(1826~1898)の遺言に沿って、現在は国の美術館として在ります。
 天井の高い部屋の壁一面、所狭しと埋め尽くすモロー、モロー、モロー。

  モローは、神話や伝説などをテーマに描いた幻想的な作品が多いのですが、この美術館のことを、アンドレ・ブルトンが『魔術的芸術』で、こう言っています。
≪・・・彼の空漠とした美術館は、あまりにも金ピカで『時代物の』額縁とともに、彼みずからが望んだ流刑の境遇を死後にまで引きのばし、プロセリアンドの森の墓所に封印された『魔法をかけられた魔法つかい』のように彼を幽閉し続けている。・・・≫

  実際に、そこに立ってみると、金ピカとか「時代物」とはまったく思いませんが、「魔法をかけられた」空間が、そこにはありました。どの絵も、語りかけて来るのです。
 明るい日差しの中で、他の鑑賞者も居る中でも感じることのできる不思議な空気。同じモローの作品を鑑賞するにしても、ルーブルで見る「出現」や、東京ブリヂストン美術館で見る「化粧」とは異なる、モロー空間のモロー作品群。アトリエ全体を鑑賞できるのです。(続く)

*『魔術的芸術』アンドレ・ブルトン・巌谷國士監修・河出書房新社

☆写真上は、ギュスターブ・モロー美術館の元アトリエだったギャラリー。
写真下は、住居部分。鏡にも額絵が写っているように、部屋の壁も、絵画で埋められていました。ただし、これらの絵はモローではありません。(と、思います。)
 
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