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ウッチェルロの「龍と闘う聖ゲオルギウス」

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(2012倫敦巴里30)
(承前)
  ロンドン ナショナル・ギャラリーには、ウチェルロの「龍と闘う聖ゲオルギウス」という作品があって、ゲオルギウス伝説の勇猛果敢なテーマに比べ、少々、ゆるい・・・・いえ、牧歌的な感じがします。白馬にまたがるゲオルギウスは躍動感があるのに、龍というのが、凶暴というよりグロテスクな感じです。また、横のお姫様が、おっとりと立っている姿が、絵全体をまろやかな雰囲気にしています。(絵画にまろやかって使うのか?)

 ゲオルギウスは、村を荒らす悪い龍から、姫を助け、龍の首に縄をつけ、村に連れ戻り、「キリスト教に改宗するなら、とどめを刺す」ということで、刺したところの絵が、ナショナル・ギャラリーの絵だと思います。姫は、すでに龍の首の縄を持っていますからね。

 ところが、ジャックマール=アンドレ美術館に、もう一枚「龍と闘う聖ゲオルギウス」が在るじゃないですか!それは、もっと微笑ましいのです。何故なら、左に立つ姫が「まあ、素敵!竜をやっつけてくれたのね」と、手を叩いているのです。パチパチパチ。こっちの絵が先で、ナショナル・ギャラリーのは後でしょうか?ウッチェルロの作品は、龍退治という血なまぐさい感じも、その迫真性もあまり感じません。
(「龍と闘う聖ゲオルギウス」の各画家の画集などの写真は、明日掲載します。)

 そんなウッチェルロのことをヴァザーリはこう言うのです。 
≪パオロ・ウッチェルロは、遠近画法のことでいろいろと苦心して時間を費やした人だが、それと同じくらいの精力を人物の姿形や動物の画に費やしたならば、ジョット以来今日にいたるまでイタリアで生まれたもっとも軽妙かつ奇想に富める天才と認められたことであったろう。彼のした遠近画法の仕事は、なるほど工夫に富み美しいものではあるが、しかしそうした仕事にあまりに熱中し過ぎる人は、次々と時間を空費することになり、自然の性を労して痛め、折角の天分をひたすら難問解決に当てることとなってしまう。・・・・≫
(「ルネッサンス画人伝」ジョルジョ・ヴァザーリ著/平川 祐弘、小谷 年司 田中英道 訳 白水社)  (続く)

☆写真上は、昨日の写真の階段を上がったところのフレスコ画。フレスコ画右端にフェイクの投げ出された足が書かれていて面白いでしょう。わざわざ大理石を削って漆喰にし、描いています。
写真下は、フレスコ画の左右にある大きな鏡の前に座って、赤いデジカメで、向かいの鏡に映った自分たちを撮っている母娘。
                         
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