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神戸のバーン=ジョーンズ

301いばらひめj
(承前)
  先日、パリの印象派集団が、こんなに描いていたのかと、その作品の多さに驚いたように、ラファエル前派集団たちも、同じテーマながらいろんなバージョンで何枚も描いたようです。
 例えば、今回、神戸に来ている「いばらひめ」(アイルランド ダブリン ヒューレイン美術館)の絵は、英国コッツウォルズ、バスコート・パークのお屋敷の壁にも連なってあります 

 さて、神戸の会場に展示された大きな「いばら姫」の絵は、画面全体に散るバラまで、時を止め、散るのを留めています。バラまで眠っているのです。この時代の英国(後期ヴィクトリア朝)絵画では、「眠り」をテーマにすることが流行で、バーン=ジョーンズは、そんな風潮の中、お伽話から着想を得、この「いばら姫」の連作を描いたようです。(写真は、バスコット・パークの絵ハガキ。左上:王子がいばらの城に入ると衛兵たちが眠っています→玉座に眠る王さまと侍従たち→眠っている女性の召使たち→眠っている姫と女官たち。バスコット・パークのお屋敷の一部屋がこの4枚の絵で飾られ、絵と絵の隙間には、いばらのつるが描かれ連なっています。)

 15年くらい前に、アイルランドと英国、一度に行くことがあり、この「いばら姫」を両方見る機会がありました。
 英国バスコット・パークにある「いばら姫」は部屋に設えられたものですから、多分、そのお屋敷からでることはないだろうと思い、友人に無理を言い、けっこう不便な(しかも開館日程が限られている)バスコット・パークに連れて行ってもらいました。門からお屋敷まで遠かったこと。お庭が果てしなく続いていたこと。

 どうしても見たかったのは、この一文が、心に残っていたからでした。
 「バーン=ジョーンズの芸術」(ビル・ウォーターズ マーティン・ハリスン 川端康雄訳 晶文社)の川端氏による後書き
≪・・・バスコット・パークの絵についていえば、私自身は以前に図番で見たときには眠り姫の眠る表情に死の影を感じていたのだが、実際に見てそれが誤解だったと気付いた。寝顔の色遣いとテクスチャーは、それがきわめて生気に満ちた眠り―もっと矛盾した言い方をすると、活動的(アクティブな)眠り―であることを示唆している。目覚めの直前を描いたものであるのだが、そこに充満しているのは、先取りされた目覚めの気配、現世での新しい生への喜びへの期待であると感じられた。その印象は、単にそれに付されたモリスの詩句のせいというわけではなかったと思う。このように眠りのテーマを表現した画家に驚嘆の念を覚えた。本書の翻訳は、そのときの驚きにつき動かされて進めたものである。・・・・≫

 と、いうわけで、下の二枚の姫の寝顔の違いわかりますか?右が、神戸に来たアイルランドヒューレイン美術館の「いばら姫」。左(少々顔の小さい方)が、バスコット・パークの「いばら姫」。川端氏のいうように、頬が紅潮し始め、今にも目覚めそうでした。
                       
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