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みんなみすべくきたすべく

子どもの本でちょっとお散歩(川 その15)

           138ハンプトンコート裏庭j
 「川べのちいさなモグラ紳士」 
(フィリッパ・ピアス 猪熊葉子訳 パトリック・ベンソン挿絵 岩波)

 フィリッパ・ピアスの作品は、「トムは真夜中の庭で」を筆頭に、先の「ハヤ号セイ川をいく」にしても、この「川べのちいさなモグラ紳士」にしても、一気に読ませてくれます。
 モグラと英国の歴史、まったく繋がっていそうもないことが、モグラの掘るトンネルのように、深いところでつながっていると言う面白さ。英国の歴史に興味のない向きには、興味半減だとしても、英国の子どもたちには、きっとぞくぞくとする楽しさを持って受け入れられたことでしょう。とはいえ、単なる歴史物語ではなく、成長物語だと言うところが、ピアスの「腕」の見せ所です。
 モグラの寿命は5年と言われているのに、ハンプトン・コート生まれのモグラが、何故に、300年もトンネルを掘りつづけ故郷に帰ろうとしているのか。はたまた、どのようにして、モグラが進化論を理解し、アルフレッド・テニスンの詩を味わうことができるようになったのか。そして、いかに、おばあちゃんの家で暮らす、本好きで孤独な少女ベットと心を通わせていくのか。
 「たのしい川べ」のモグラが子どもらしいモグラだとしたら、このモグラは大人であり、かつ紳士。そして、「不思議の国のアリス」を思い出させる魔法の時間。
 ともかくも、事の発端を読んだら、もしかしたら、これはフィクションじゃなくて、こういうことで、歴史が動いたのかも・・・と、納得。え?それじゃ、わからない、って?じゃあ、ヒント。イギリス名誉革命。モグラ塚。ハンプトン・コートで落馬。

 ベットは思うのです。≪もしかすると、読めば聞く人を作りだすのかもしれない。ベットはゆっくりと大きな声で読みだした・・・・≫
 そうそう、書けば読む人を作りだすのかもしれない。

☆写真は、英国ハンプトン・コート(撮影:& Co.H)

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