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子どもの本でちょっとお散歩(川 その9)

86白雪j85カージナルjj
「小さいお嬢さまのバラ」
(ファージョン 石井桃子訳 アーディゾーニ絵 岩波)

 これまで「古本 海ねこ」でも、エリナー・ファージョンの作品は、何度か紹介してきましたが、「ムギと王さま」に入っているこの「小さいお嬢さまのバラ」も可愛いお話です。「・・・丘は高く、谷間はひくかったので、丘にのぼっていく人も、谷をくだっていく人も、めったにありませんでした。ただ、上にあるお屋敷と谷間の村のあいだを流れている銀色の川だけがその二つを結びつけているように見えました。・・・」
 お屋敷に住むお嬢さまと村の元気な子どもを結びつけたのが、川であり、そこを流れたバラでした。携帯電話もなく、メールもなく、糸電話もなく、通信手段を持たない子どもが、遊び相手を探す手段が、バラを流すことだったのはとても楽しいアイディアです。「だれもあそぶ人がいないなんて、どんなにつまらないことか、あなたたちにはわからないわ。」と、友だちとつながる川に白いバラや赤いバラ、ときにはスカートに一ぱいくらいのバラをうかべ、「友だちをつれてきてほしい」と小さいお嬢さまは願いました。

 昔、3歳の長男が幼稚園に入ったのは男女半々の14-5人の小さなクラスでした。お迎えに行くといつも機嫌よく今日あったことを話してくれます。が、みていると、他の子たちは、家に直接帰らずに他の子の家に直行したり、後で遊ぼうと約束したりしています。
園の生活にずいぶん慣れてきても、彼は約束しないで一目散に母のもとにやってきました。そこで、母は「なんで、約束して遊びに行かないの?」と問いました。彼は「ん?」という顔つきです。そのうち、楽しそうに降園する他の子たちに比べ、うちの子が仲間外れになっているのかと思いだす始末・・・が、落ちついて考えてみると、他の男の子たちは、偶然にも二男か上に姉の居る子たちばかりで、約束して遊ぶという手段を知っているのじゃないかと思い当ったのです。うちの長男は、アポの取り方を知らない。そのうち、よくわかった子が「Tちゃんとこ行ってもいいか?」といい出しはじめました。よその子がうちに来るようになったものの、自分から行くと約束を取り付けるのは、そのずっと後のことでしたし、少なくとも幼稚園の間は、ほとんどなかったと思います。
 当時の長男は、園でニコニコとみんなの遊んでいるのを見て、帰宅後、見てきたことをマネしながら遊ぶのが、好きでした。大人にも、たくさんの人と群れているのが好きな人、一人でいるのが好きな人、色々な時の過ごし方や遊び方があるのは理解していたのに、子どもなら、友だちは多く、いつも誰かと遊ぶのがいいことだと、思い込んでいた母だったのです。

☆写真、白バラは、「白雪」という品種のバラで、先日から、時々写真に写っています。引っ越しのとき、挿し木にして持ってきたのですが、それが大きく育ち、まだまだ咲いてくれそうで嬉しいです。赤バラは、以前住んでいた家の庭で撮影したカーディナル・・・今頃、どうなっているかなぁ・・・

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