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みんなみすべくきたすべく

Mr. Rabbit and the Lovely Present

80うさぎさんj
センダックの絵本が、彼自身の文と絵になるものだけだったら、もっと静かに受け入れたかもしれない訃報でした。舞台音楽に関係したことに加え、彼が挿絵を担当した数々の名作。このつながりが、訃報の衝撃をより大きいものにしていると思います。

「いるいるおばけがすんでいる」から始まって、マインダート・ディヤングに出会い、アイザック・B・シンガーに出会い、ランダル・ジャレルに出会い、子どもの本の楽しみはどんどん広がって行きました。どれも、みんな、センダックの絵だったから出会ったのです。センダックが挿絵をつける本なら、「いける」、という確信がありました。

挿絵がセンダックだったから「丘はうたう」(脇明子訳 福音館)を読んだのだと思います。あら、このお話、面白い。作者は?マインダート・ディヤング?他に書いてないの?あるある・・・センダックが挿絵を描いた「コウノトリと六人の子どもたち」(遠藤寿子訳 岩波)もありました。(こっちが先だったかもしれない・・・)これも、とても、いいお話。ディヤングは、大きな冒険話ではなく、静かに心に響くお話を数々書き、翻訳も何冊かでています。特に、「ぼくの黒うさぎシャデラック」(中村妙子訳 偕成社文庫)を、センダックの挿絵の原書で手に入れたときは、これこそ「ぼく」だし、「シャデラック」だと思い、作品がより身近に感じられました。

「やぎと少年」(工藤幸雄訳 岩波)もセンダックの挿絵です。これもよかった。作者はアイザック・B・シンガー?ノーベル文学賞だって?シンガーの他の子どもの本はないかな?岩波少年文庫にあるある・・・どれも面白い。センダックの挿絵じゃないけど、ツェマックの挿絵もいいなぁ。ツェマックの絵本はないの?「メイゼルとシュリメイゼル」(木庭茂夫訳 冨山房)これはいい!「ありがたいこってす!」(渡辺茂男訳 ほるぷ・童話館)もおかしい話。

ランダル・ジャレルの「陸にあがった人魚のはなし」(出口保夫訳 評論社)「詩のすきなコウモリの話」(長田弘訳 岩波)。この2冊も、センダックの挿絵じゃなかったら出会わなかったかもしれないと思うと、センダックに大いに感謝です。当時は、訳者の出口保夫、長田弘のことも、まだよくわかっていませんでしたが、その後、出口氏の数々の英国紀行文、長田氏の「本という不思議」「詩人が贈る絵本シリーズ」(みすず書房)他・・・深みに、はまっていきました。

・・・・と、どんどん広がる絵本と、児童文学の世界。

今回、書ききれない、もっと、もっとたくさんのセンダックの絵本。どの絵本についても、何かしら書きたいことがあるなぁ。

☆写真は、センダック自選集「うさぎさんてつだってほしいの」(ゾロトウ文 こだまともこ訳 冨山房)の一枚絵と、プロコフィエフ「三つのオレンジへの恋」(フランク・コルサロ グラインドボーンバージョン)

**センダック自選集(Pictures by Maurice Sendak 1971)というのは、1971年までのセンダック絵本作家生活20年間78冊の作品中で、センダック自身が選んだ19枚の額装向きの一枚絵のセットのことです。
なお、5月9日の写真後ろに写っている「かいじゅうたちのいるところ」も、その中の一枚。翻訳されている絵本より、はるかに発色がきれいです。また、5月10日の左に写る “Lullabies and Night Songs”の中の、ウィリアム・ブレイク風の一枚も自選されています。
それで、このセンダック自選19枚のうちで、私が、一番好きなのが、この「うさぎさんてつだってほしいの」の一枚。この小さな一枚を初めて見たとき、うさぎさんが、前に伸ばした手の先に、未来に続く明るさが見える気がしたのです。

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