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子どもの本でちょっとお散歩(川 その4)

21テムズボート白い桜j
  「おもしろ荘のこどもたち」 
(リンドグレーン作 石井登志子訳 イロン・ヴィークランド絵 岩波書店)
 マディケンは、「豚がまばたきするぐらいのすばやさで、いろんなことを思いつく」女の子です。お父さんお母さん、妹のリサベット、黒い犬のサッソー、ねこのゴーサン、お手伝いのお姉さんのアルバと、川のほとりのおもしろ荘に住んでいます。
 ある日、葦の中のモーゼ遊びを思いついたマディケンは、川をナイル川に見立てます。リサベットは赤ちゃんモーゼ役で洗濯用たらいに入って浮かび、マディケンが赤ちゃんモーゼを拾うエジプトの王女役をやりました。マディケンは、自分の木綿の服がエジプトの王女らしくないことに気付きます。
 「・・・・マディケンは、ひとりでエジプトの王女さまらしい服を探すことにしました。なにかぴったりしたのはないかとうろうろしていると・・・・ありました。寝室に、お母さんのガウンがかけてあるのが目につきました。うすい水色の絹のガウンです。はおってみると、おおっ、なんとすばらしい!きっと、大昔ナイル川のほとりを王女さまは、こんな姿で散歩していたのでしょう。たぶん頭にはベールをかぶっていたでしょう。・・・・マディケンは戸棚に頭をつっこんで、台所用のうすい白いカーテンをひっぱりだしました。頭にのせて、寝室の鏡にうつしてみると、しめしめ、あんまりきれいなのでおもわず身震いするほどです。きっとエジプトの王女様はこんな姿だったにちがいありません。・・・・」

 で、結局、モーゼを救い出す作業は、マディケンの思い通りにいかず、赤ちゃんモーゼは、騒ぎたて、あげくにエジプトの王女は、飛び跳ね始め、結果、川へドブン。そして、桟橋で見ていた隣の家のアッベに助けられるのです。

 ここで、ちょっと「ごっこ遊び」について。
 子どもは、生後9・10カ月頃から、大人の「真似」をし始め、1歳頃から、空のコップでごくごく飲む「ふり」をしだし、何かを「見たて」て遊び始め、3歳頃になると、成りきって「ごっこ遊び」をします。そして、もうすぐ一年生のマディケンともなると、ストーリーやシナリオのあるごっこ遊びをします。ところが、まだごっこ遊び初期段階のリサベットは、さしたるシナリオもなく、成り切っているのを楽しんでいるため、二人の気持ちがすれ違い始め、争いになるのです。それで、ごっこ遊びは、とうの昔にすんだ15歳のアッベが、冷静に二人を見守り、二人を救います。

 閑話休題。リンドグレーンは、こんな子どもの発達段階のこと等、まったく念頭になかったはずです。子どもをよく観る、あるいは子どもの時のことをよく覚えている作家の筆にかかれば、子どもの姿が真実味をおび、読み手に、生ききとした世界を提示してくれるのだと思います。
☆写真は、5月上旬英国テムズ川上流マーローの桜 

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