みんなみすべくきたすべく

テキスタイルミュージアム

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(承前)
 かつて、ザンクトガレンに行ったときには、テキスタイル美術館が、この街にあることを知りませんでした。娘が刺繍やレースや、そういう仕事に携わるようになってから、娘の父親も、その分野に関心が生まれました。
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 以前、レマン湖畔 モルジュの街で手芸店に入った時、≪今や、スイス刺繍というのは、ザンクトガレンでのみ。そこのミュージアムに行ったら、見られるよ。≫などと教えてもらっていたので、次回行ったらと、娘の父親は目論んでいたようです。
 
 で、ザンクトガレンに行くことに。
 しかしながら、結局、今夏は、娘もスイスに後半一部合流し、娘は自分自身で、テキスタイル美術館に行くことになりました。ところが、娘より先に行って、情報をと思う父親心は、ザンクトガレン行きを変更せず、綺麗な展示品を見ることになったわけです。
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 今、巷に流行る、レースの服ですが、このしっかりした厚みのレースは、ゴージャスで美しい。
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ダイヤモンドに目がくらみ・・・

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京都国立近代美術館の「技を極める・・・・ヴァン・クリーフ&アーベル ハイジュエリーと日本の工芸」展(~2017年8月6日)に行きました。

 まあ、綺麗。ダイヤモンドに目がくらみます。
 大きなエメラルド!
 ゴールドでできた可愛い襟!
 可愛いバレリーナたち。
 真っ赤なルビーのハイジュエリー。
・・・と、およそ一生涯、身につけることのない、いえ、手に触れることもないアクセサリーや、その周りの数々。
つけたら、きっと重いだろう。
つけたら、きっと動きにくいだろう・・・・と負け惜しみを言っても、ともかく、目を奪われるハイジュエリーと呼ばれる数々。

 が、しかし、なぜにここに日本の工芸品が並ぶのか、よくわかりません。
 日本のデザインのものと比べるのでなく、あるいは、同じ様式や、同じテーマでもありません。
 ほとんどが、ハイジュエリーの引き立て役としてのオブジェのような展示の方法。
 そりゃ、ダイヤモンドに目がくらむのが当たり前。その横の並河靖之作の有線七宝の素晴らしい作品も、ダイアモンドの陰で、ただの引き立て役。安藤碌山⇒⇒の筍や柿もなにゆえ、ここに?一つだけある明治刺繍絵画⇒⇒➡➡など明治の超絶技巧の作品たちが、所在無げに、展示されています。
 また、現代の工芸には、志村ふくみの着物➡➡や、ほか織りや染めなども展示されているのですが、展示j会場の設えの一部のような感じが否めません。

 きらびやかなものだけが目を奪うのでなく、その細かい作業と優れたセンス。それが日本の工芸の見せるべきものではなかったの?来館者の多くが、ハイジュエリーの華やかさやデザインの素敵さに目を奪われ、その技巧の素晴らしさにまで目がいかない。
 たぶん、日本の超絶技巧のように、このハイジュエリーたちも、凄い技巧なのよ。と言いたいのかもしれません。
 
 が、そこには、無理がありました。
 一方は、目を凝らしてみなければならないほどの細かい作業とセンス。
 一方は、そばに立つだけで、際立つきらびやかさ。
 その双方を同じ場所に並べても、自ずと観客の目はどちらに奪われるか、わかると思います。
 
  入館する前に勝手に想像していたのは、結果、日本の超絶技巧は、やっぱり凄いんだと思う展示だと考えていましたが、ちょっと違いましたね。チケットをもらって、行く機会があったので足を運びましたが、納得いかない展示会でした。

 が、しかし、平安神宮、岡崎あたり、美味しいものが多いのですよねぇ。気を取り直して入ったカジュアルフレンチ、「ウイキョウのスープ」という初めて口にする美味しいランチで、お口は納得。
☆下の写真は、「ウイキョウのスープ」。ウイキョウは、フェンネルともよばれるハーブです。上にのっているのが緑がウイキョウで、ベースのポタージュもウイキョウの玉ねぎみたいな茎の部分だと、説明を受けました。
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海北友松展

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 大体、テレビの展覧会案内番組で紹介されたら、混雑するのはわかっていて、ちゃんと賢い人は、それ以前に、この「海北友松展」(京都国立博物館:平成知新館)を鑑賞なさっていました。しかも、会期終盤は混雑することも知っていても、数々の諸般の事情から、結局、カ・リ・リ・ロが足を運べたのは最終日でした。

 確かに、入場するには行列ができ、初めの展示物は、見えない状態でしたが、展覧会の常で、中盤からは、人が減っていき、ゆっくり見ることができました。

 街に張り出されていた雲龍図の一部は、建仁寺のもの。建仁寺で、見たことあるしなぁ・・・などと思っているうちに、多忙を言い訳に行きそびれていたのでした。
 建仁寺のものは、複製の襖絵で、しかも廊下からしか見られないので、今回、表具されて展示された雲龍図の迫力は楽しいものでした。
 お茶目な龍とかねがね思っていましたが、「野馬図屏風」のひょうきんな馬も、「放牛図屏風」のほのぼのとした牛も、どこか優しいユーモアが。寒山拾得などの人物も、どこか茶目っ気があって、およそ、桃山時代の人の画とは思えない。
 それら息をする物を描いたものに比べ、風景図屏風のいくつかは、いたみもあるし、伸びやかさにも欠けるような気がしました。

 が!最後の「月下渓流図屏風」(6曲一双)!!!
 これだけでも、見に行ったかいがありました。素晴らしい!!!
 照明を落とした展示室のこの作品、月の薄明りの下、ほんのり、はんなり、光と影。水の音。梅に椿、そして、松、みんな朝靄の中。小さな土筆が、かわいい。
 山水画でもなく、水墨画でもなく、金碧屏風でもなく、静寂を表現できる柔軟な筆の持ち主、海北友松。
 後世、江戸の絵師たちの作品の中に、この人の影響を見るのも当たり前のことかもしれません。

 それにしても、この美しい屏風、どうやって、米国カンザスのネルキン・アトキンズ美術館に渡っていったんだろう?西洋人好みの色合いや迫力とは縁遠いような気がするけど、目利きはいるんですね。手放した日本人は、今頃、気が付く。ほかにも、いろいろあるなぁ。

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講談社野間記念館

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 東京、講談社野間記念館「横山大観と木村武山展」(~2017年5月21日)を見に行きました。
個人的に、横山大観は、日本画家としては、もっと古い人かと思いがちです。が、実は、1868~1958という生涯。
また、これまで知らなかった木村武山という画家も1876~1942。
二人とも草創期の東京美術学校で岡倉天心の薫陶を受けた人らしい。
 
 第4展示場には、木村武山の「十二ケ月図」という色紙が、7パターンもあって、あるいは号をつける前の木村武夫時代の「十二ケ月図」も入れると、8つあって、つまり、8×12の「十二ケ月図」は見ていて、楽しいものでした。鳥、花、魚、虫など、四季折々の美しいもの、美しいシーンが描かれていて、改めて、日本の四季を感じることができました。

 講談社といえば、思い出すのが、大昔、読んでもらった「安寿姫と厨子王丸」➡➡
 記念館のSHOPで一番に手に取ったのもこの絵本。幼い頃の記憶の奥の奥に入ったものは、忘れないものです。大昔、読んでもらった「安寿 こいしや ほうやれほ」の母の声を思い出します。

☆写真上は、野間記念館の庭から見える、丹下健三設計の東京カテドラル関口教会。左に花の咲く高い木は、ベニバナトチノキ。(下の写真も)
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浮世絵動物園

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(承前)
 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館の「ランス美術館展」➡➡が混雑していなかったことに気をよくし、待ち合わせまでに、もう一つ美術館に行ける!と、新宿から近い「太田記念美術館」に行きました。
 小さなこの美術館は、大抵 空いていて、丁寧に見ることができる美術館なのですが、この日は、違いました。
 外国の人も多い。
 日本の若い人も多い。
 で、作品が小さい上に細かいところを見るので、思いのほか、見るのに苦労しました。

 浮世絵の中にさりげなく描かれている動物たち。
 主人公として描かれている動物たち。
 脇役として勤めを果たしている動物たち。
 着物の柄に登場する動物たち。
 擬人化されたり、そのままの特徴を描いていたり。
 
 そこには、どれも動物に対する暖かい目がありました。
 
 こうやって、動物特集をやるなら、花特集、季節特集、伝統行事特集、子ども特集、もちろん風景や街道特集など、数の多い浮世絵は無限に展示ができるなぁ。
 そういえば、美人帖とか➡➡、恋物語➡➡特集もやっていたし・・・

 とはいえ、カ・リ・リ・ロと別れて、すみだ北斎美術館「てくてく東海道-北斎と旅する五十三次展」に行っていた夫は、凄い列で、長いことかかってやっと入れた・・・と、申しておりましたから、浮世絵人気は、もしかしたら、本物?

 それに、2019年からの日本のパスポートの出入国の際にスタンプを押す査証欄のページのデザインが「冨嶽三十六景」をモチーフにした新デザインに変更するらしいし。
  

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ゴッホのひまわり

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(承前)
  東京 新宿 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館は、ゴッホの15本のひまわりのうちの一枚を所蔵することで有名です。
 そのお宝は、セザンヌ、ゴーギャンとともに、ガラスケースの奥に鎮座しておりました。

 さて、花瓶に15本入った3枚の「ひまわり」は、東京とロンドンとアムステルダムにあります。
 ロンドン ナショナルギャラリーでは、いつも人が前に立って鑑賞しているのに、日本にある「ひまわり」は、ガラスの奥の壁で、心なしか、寂しそう・・・・
 というのも、この「ひまわり」の絵、静物画なので、ついつい、小さいものとイメージしがちですが、なんのなんの、結構大きな絵なのです。特に、東京の「ひまわり」は100.5 ×76.5cm に豪華な額に入っていますから、かなりの迫力です。
 しかも、「ひまわり」の花が無造作に生けられているという視覚的な広がり、「ひまわり」の花の持つ明るくポジティブな象徴性、これらによって、より大きな「ひまわり」の絵として、我々の前にあるのです。

 他にも15本以下のひまわりを描いたものもあるらしいのですが、またいつか、見ることもあるでしょう。そのうちの一枚は、かつて空襲で、焼失したとか、しかも、身近な街で・・・。
 なお、ロンドンナショナルギャラリーのひまわりを複写した(ゴッホ本人が再描)他の2枚ですが、微妙に、違う箇所もあるのは興味深いところです。

☆写真、左上はアムステルダム ファン・ゴッホ美術館の「ひまわり」左下は、東京 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館の「ひまわり」、右はロンドン ナショナルギャラリー「ひまわり」

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ランス美術館展

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(承前)
 フランスのランスという街には行った事がありませんが、ランスの大聖堂や、レオナール・フジタ(藤田嗣治)に縁のある古都だとは知っていました。

 そこで、東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館「フランス絵画の宝庫 ランス美術館展」(~6月25日)に行きました。日本人も名前を知っている画家・・・ゴーギャン、ドラクロア、ピサロ、コロー、ドニ・・・・など、一枚ないし、少数ずつ並んでいました。
 一枚、「おお、これか・・・」と見入ったのが、ジャック=ルイ・ダヴィッドの「マラーの死」の絵でした。
 世界史の教科書に出てた!お風呂で手紙持って、浴槽に身体を預け、事切れてるあの人。
 マラー・ダントン・ロベスピエールって、続けておぼえた・・・確かフランス革命が、どうとか・・・

 さて、この美術展で一枚を選ぶとしたら、フジタが礼拝堂のステンドグラスの為に描いた「聖ベアトリクス」の大きな素描。いいなぁ。綺麗なあと見とれました。
 この「聖ベアトリクス」は、ステンドグラスのために彩色したものや、実際のステンドグラスの写真など展示していましたが、個人的な好みは、一番初めの素描。とにかく、生き生きとしています。

 フジタが日本人でなかったら、描けなかったものもあろうけれど、もし、西欧人であったら、この天才は、ほかの画家たちと同じような評価を受けていたんだろうか。➡➡例えば、フランスや日本以外でも回顧展をやったりするんだろうか。・・・世界中の評価はどうなんだろう。
☆写真は、「ランス美術館展」の案内紙。上はレオナール・フジタ「マドンナ」、下はジャック=ルイ・ダヴィッド。

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並んだ屏風

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(承前)
  今年の根津美術館には、尾形光琳(1658〜1716)の「燕子花図屏風」と 鈴木其一(1796〜1858)による「夏秋渓流図屏風」が並んでいました。(~2017年5月14日)
 100年以上も違う時代の屏風なのですが、どこか雰囲気が似ていて面白い。
 もともと尾形光琳の燕子花も写実的で細かいというより、少々単純化され、全体の構図がダイナミックで美しい。
 あとの時代の「夏秋渓流図屏風」は、さらに大胆な構図。単純化された笹の葉や水の流れが、現代の絵にも通じています。燕子花こそ、描かれていませんが、百合の花が美しい。

 この鈴木其一の「夏秋渓流図屏風」は、円山応挙の「保津川図屏風」➡➡などの影響が指摘されていますが、確かに大胆な水の流れは、それらに通じるものを感じます。
 
 ただ、以前にも、書いたことですが、➡➡、人出の多い屏風鑑賞は、離れて見たり、視点を変えたりなど、ゆっくリ鑑賞できないのが残念なことでした。
        
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妖精のきこりの見事な一撃

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 (承前)
 ロンドン テート・ブリテンにあるこの絵「妖精のきこりの見事な一撃」の画家、リチャード・ダッド(1817~86)は、若くして才能を発揮したものの、精神を病み、父を殺害、亡くなるまで43年間精神病院で過ごしました。この絵は1855~64までかかって描かれ、未完成部分を残しています。  

 この絵は、比較的小さな絵ですが、いつも、その絵の前に立つまでは、もっと大きな絵だと考えています。で、実際に目の前にすると、54×39.4センチという大きさなのです。
 この絵の周りには、壮麗なラファエル前派の大きな絵が掲げられていて、小さいのも際立つはずなのに、その絵を見ていると、大きな世界の広がりを感じてしまうがゆえに、実物の大きさを思い違いしてしまうのかもしれません。

 とにかく、細かく描かれています。不思議な容姿の人や妖精たちが、いわくありげに描かれています。 一人ずつ解読していくことも面白いことですが、カ・リ・リ・ロは、一人背中を向けて、今にも斧を下ろそうとしている人間(?)に、いつも目が行きます。この人だけ身体のバランスが普通・・・で、そのあと、その人を正面で見据える小さな老人に目が行きます。この二人を描くために、妖精の世界、草花より小さい世界、謎めいた人たちやその視線などなど、加えていったのだと、勝手に解釈しています。

 描かれているのは、ノーム(地の精)やエルフ(小妖精)、トンボのトランぺッターも居ます。もちろん目立つところには、妖精王のオベロンも女王ティタニアも。
 画面上には、鋳掛屋さんに兵隊さん、船乗りに仕立て屋に農夫、それに薬剤師に泥棒。(これは、イギリスの伝承歌、子どもの占い歌)
 さて、この一撃のあと、それぞれが動き出す・・・それぞれのざわめきが聞こえてきそうです。(続く)

*参考:図録「テイト・ギャラリー(日本語版)」(1996)(サイモン・ウィルソン著湊典子・荒川裕子・平尾左矢子共訳)

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テムズをはさんで

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(承前)
 昨日のジョン・シンガー・サージェント「カーネーション・リリー・リリー・ローズ」➡➡やラファエル前派の絵➡➡を展示しているのは、テート・ブリテンと言われる美術館です。
 もとはヘンリー・テートさんがロンドン・ナショナルギャラリー➡➡に寄贈しようとしたものの、収まり切れないというので、ナショナルギャラリーの分館となり、その後、テート・ギャラリーとなったものです。そのテートは、ロンドンのプリムコウにあるテート・ブリテンとテムズ対岸のバンクサイドにあるテート・モダン、あと、行った事がないテート・リバプールとテート・セントアイブスで、成り立っています。

 現代アートを所蔵するテート・モダンは、もと発電所だったところを美術館にしているユニークな建物です。エントランスは、発電機があったタービン・ホールで、99mの巨大な煙突と昔ながらの煉瓦造りの外観を残し、内部は7階まで吹き抜けとなっていて、現代アートを展示する空間として、面白いものとなっています。

 かつて、ここに家族で行ったとき、アンディ・ウォホール展をやっていて、キャンベルスープの缶の絵やマリリン・モンローなどなど、所狭しと貼られていて、その迫力に圧倒されました。が、かの夫はというと、発電所のなごりの鉄の柱や、鎖などに痛く感銘を受けていました。サイズを測っていた・・・・

 また、ここのカフェ・レストランは、テムズを見下ろし、前にセントポールなど、ロンドンの景色が見渡せる素敵な場所なのですが、行ったときはいつも、混んでいて、なかなか縁がありません。
 そして、テムズ川の両岸にあるテート・ブリテンとテート・モダンは、船でつながっているようです。
 それから、テート・モダンの隣には、かのグローブ座もあって・・・と、書いているうちから、また行きたくなってきた。(続く)
☆写真は、テート・ブリテンのエントランス上部

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