みんなみすべくきたすべく

空はただよふもののためにひらかる

へるしんきj
ランボオ「酔ひどれ船(未定稿)」
≪星てる群島、島々、その狂ほしく美はしき 空はただよふもののためにひらかる、 そもこの良夜(あたらよ)の間に爾はねむり、遠のくか。 紫摩金鳥の幾百萬、ああ當來の勢力(せいりき)よ。≫(上田敏訳 岩波文庫) 

(承前)
 初めてフィンエアーに乗ってヨーロッパに行きました。
 諸事情からいつもと違う航空会社にしてみました。

 実は、ヨーロッパに一番早く着くというフィンエアーの謳い文句も知っていたし、複数の経験者から、評判を聞いていたので楽しみにしていました。
 今まで、ヨーロッパまで、直行便で12時間かかって行くと、最後の3時間にあきあきしていたのですが、関空から9時間でヘルシンキに着くのは、すごく「楽」。その後、乗り継いでも、飛行時間は合計12時間かかりません。
 ヘルシンキはそんなに大きな飛行場ではないものですから、乗り継ぎ時間も、さほどありません。ただ、ヘルシンキ空港には、日本・韓国・中国の直行便が来ているので、空港内は、人が溢れておりました。 

 また、機内は、マリメッコデザインで統一され、すっきりしていましたが、見たい映画がなかったのは残念でした。ま、あっという間のヨーロッパでしたので、薄っぺらい「ランボー詩集」(堀口大學訳 新潮文庫)を充分に楽しみました。
☆写真は、ヘルシンキ空港とフィンエアー機内食。(続く)
                      機内食
  

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夢想するのは、はかないわざさ。

雲の上j
ランボオ「渇きのコメディ Ⅳ あわれなものおもい」
≪北の国へでもいってみようか。それとも葡萄の実たわわな南の国か。――ああ、夢想するのは、はかないわざさ。≫(金子光晴訳 角川文庫)

(承前)
 スイスに行こうと決めると、山に行くのか、湖に行くのか迷います。まさしく、「北の国」か「南の国」か。

 空まで届く美しい山々は、見る者の襟を正します。身が引き締まる思い。が、その大きさがゆえに、懐も深い。
 静かな湖面は、見る者の心を和ませます。心が解放されます。
・・・・ということで、どちらもあきらめられない・・・

 が、少しわかったことがあります。
 一つは、「そこに山があるから登る」という気持ち、です。
 「かかってこい!」と挑発するかのように山がそびえ立っていますから、危険を承知で挑むのでしょう。軟弱なトレッキングしかしない者でも、気分は同じです。磁石のようにひきつける力をアルプスは持っていると思います。

 もう一つ気付いたことがあります。
 個人的に、湖や水辺に惹かれるのは、生まれ育った環境が、瀬戸内海の穏やかな海のそばだったからではないかと。
 電車に乗ると、須磨辺りから延々と見える瀬戸内海。
 遠くに大阪湾の南岸が見え、穏やかな日はさながら湖のようなのです。
 そして、葡萄こそ作っていないものの、多くの日々が気候温暖。(続く)

☆写真上は、ニーダーホルン ケーブルカーからニーセン山を望む。写真下はレマン湖畔の葡萄。いずれ、ホワイトワインに。 
       葡萄j
      

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パン屋はにんまりほほえんで 昔の小唄をひとくさり。

                三食パンj
ランボー「のぞき見する子どもたち」
≪おいしいパンの焼ける音。パン屋はにんまりほほえんで 昔の小唄をひとくさり。≫(堀口大學訳 新潮文庫)

(承前)
 さて、いつか、フランスのパンより地元のBと書いたことがあります。
 地元のBはまだずっとひいきにしていますが、今回、これをしのぐ?並ぶ?パン屋さんを二軒見つけました。

 どちらもモルジュの街にありました。一軒は、おばちゃんたちがせっせとやっていて、私のつたない英語が通じないので、英語の少しわかるおばちゃんを他のコーナーから引っ張ってきて、お店のお薦めを教えてくれました。
 昔、よく食べた三食パン(ジャム・クリーム・あんこ)みたいな形のパン。チーズ、サラミ、ハムがはさんであります。おいしいバターが塗ってあり、キュウリのピクルスをはさんでありました。おいしいに決まってるやん。(写真上)

 もう一軒は、モルジュの朝市の時、すでに外のカフェは満員で店内でも列をなしていたパン屋さん。葡萄畑の帰りに寄ったらば、大きなケースが、ほとんど空。とはいえ、残っていたのをかろうじて手に入れたら、美味しいぃ~。(写真下:朝市で買ったプルーンと、ミニトマトも美味しい!)

 日本ではバターが高くて品薄ですが、きっと、ふんだんにバターを塗っているんだろう、使っているんだろうというお味。ドイツ語圏のパンも美味しかったけど、やはりフランス語圏のパン、小さな街にもおいしいものが。(続く)
お食事j

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程遠き街の響きを運ぶ風 葡萄の薫り、ビールの薫り。

       葡萄畑とレマン湖とj
ランボオ「物語Ⅰ」
≪程遠き街の響きを運ぶ風 葡萄の薫り、ビールの薫り。≫(中原中也訳 岩波文庫)

            葡萄2
(承前)
 ヴェヴェイから単線電車に乗って、シャブレーという村に着きました。ここから葡萄畑を回る小さな車に乗るのです。
 レマン湖を見渡す、葡萄畑の中腹です。
 お客は我々と、インド系夫婦と白人女性の計5人。しかも、ワイナリーに着いた後は、我々以外は、ケーブルでヴェヴェイに降りて行きましたから、最後は貸し切りでした。
        葡萄案内写真j
 さてさて、小さなアトラクションのような車は、でこぼこ道を進みます。がたんごとん、がったん、ごっとん。
見晴らしは抜群。レマン湖を眼下に見ながら、葡萄畑を東西に進みます。
葡萄畑j
それぞれの村の名前は葡萄の品種に関係があるようで、出発点のシャブレーも、折り返し点のシャルドンヌ(シャルドネ)も。
            わいなりj
ワイナリーでは、試飲もさせてくれました。街で買うよりずっと安いものの、重さもあって、ほんの少ししか購入しなかったのを、少々後悔していました。
 すると、猛者もいるもので、かつて、スイス人の友人とワイナリー巡りをした人は、箱で買って、日本へ送ってもらったそうな・・・彼女いわく、すぐなくなったけどね・・・そうなんだ・・・・(続く)
わいなりなかj
                           akawainn7j.jpg

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「ベロン」及ヒ「ゼネーヴァ」府ノ記

ヴェヴェイの街j
(承前) 
 さて、もう一度「特命全権大使 米欧回覧実記」 (久米邦武編 田中校注 岩波文庫)に戻ります。この本のスイス編三章目のタイトルは≪「ベロン」及ヒ「ゼネーヴァ」府ノ記≫です。
 ベロンは、ベルン、ゼネーヴァは、ジュネーブのことです。
 
 一行は、ベルンからレマン湖に向かうのですが、
≪豁然(かつぜん)トシテ前ケ、「ヴェヴェー」邑ノ人家、皎然(こうぜん)トシテ湖岸ヲ走ル、前後ノ峰容、水ニ鑑シ霞ヲ拖(ひ)キ、ミナ俊逸ノ姿アリ、真ニ快絶ノ景ナリ、此辺湖岸ノ地ハミナ葡萄ヲウユ、凡(およそ)葡萄ハ平地ニ宜シカラス、其根ハ水ヲ忌ム、故ニ傾斜ノ坡ニ於テ種ユ、渓谷河墳ノ地ノ如キハ殊ニ其土宜ニカゝルト云・・・・≫
 
 この日誌から100年以上たった今も、この風景は変わらず、近年、この葡萄畑の斜面は、世界文化遺産に登録されたようです。
 そして、レマン湖畔のニヨンがローマ軍入植地であり、その近郊斜面が、ローマ軍のためのワイン造りに貢献したというのも納得です。
 ただ、陽光燦々、葡萄畑に適した土地ながら、斜面で作付面積が少ないのか、あるいは、自国消費だけで充分なのか、日本で、スイスワインを目にすることが少ないのは残念です。(続く)
☆写真上は、葡萄畑からヴェヴェイの街が見えます。下は、葡萄畑。葉が色づく頃の夕焼け時は、さぞ、美しいことでしょう。

            葡萄畑j

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鏡の池の底深く、歌留多を遊び、

チェスj

ランボオ「歴史の暮方」
≪人は、女王様や恋しい女を喚(よ)ぶという鏡の池の底深く、歌留多を遊び、西空には、聖女や面帕(かずき)や楽人や伝説の色を読むという。≫(小林秀雄訳 岩波文庫)

(承前)
 ヴェヴェイの街はずれ、遊歩道の端には、ゲーム博物館がありました。
 博物館には、古代からのサイコロから始まってドミノやトランプ、また各国のゲームが展示されているらしい。庭に、大きなチェス。 カフェの入口に、ドミノ模様。雨戸の模様は、トランプのクローバー。
どみのj  
            クローバー模様j 

が、いかんせん、その日は閉館していましたので、もとは城塞だった塔の上に上がってみました。
塔j
 13世紀に建てられたというこの塔、全方向、よく見えます。湖の東西。ヴェヴェイの街に、その向こうに広がる葡萄畑。(続く)
向うは葡萄畑j

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夏の暑熱は、歌唄わぬ小鳥に託され

ベベイ桟橋j

ランボオ「Fairy」
≪夏の暑熱は、歌唄わぬ小鳥に託され、為すこともない放心は、昔日の恋、褪せた匂いの入江を横切り、価も知らぬ喪の船を促した。≫(小林秀雄訳 岩波文庫)

(承前)
 レマン湖畔、ヴェヴェイの街は、8月に見に行った「チャップリンからの贈りもの」という映画でシンパシーを勝手に感じていました。(その日の写真を、チャップリンの銅像の写真に変えています。)
街並みj
 レマン北湖畔の街は、モントルー、ローザンヌ、ニヨン、モルジュ。それに、ヴェヴェイ。
  ローザンヌ以外は、どこもこじんまりとしていて、それぞれの特徴がある町です。
 
 その中でも、ヴェヴェイの街は、チャップリンが住んでいただけでなく、丘の上には今なお、いろんなお金持ちが住んでいるんだろうなぁと思わせる落ち着いた街です。
 一番にぎわう場所に、古い路地や15〜19世紀の歴史的建物、湖に面しては、取り澄ました高級ホテル。加えて、駅の近くに、ネスレの本社があるからか、ニヨンやモルジュよりも人も多い。
 モルジュのダリアのプロムナードもいいけれど、湖岸沿いの遊歩道も、ちょっと素敵じゃありませんか?
遊歩道j
 この遊歩道の向う端で、モルジュの朝市で買ったフルーツとサラミ、それと、パンでランチにしました。(続く)
                 すずめj
☆写真は、映画「チャップリンからの贈りもの」にも出てきた船着場。一番下は、レマン湖を前に、スズメがたくさん集まっている男の人。多分、パンを食べているのでしょう。

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言葉の数々と掘出しもの、即時の所有。

    朝市2j
ランボオ「見切物」
≪売物。様々な計算の応用と未聞の諧調の飛躍と。人々の思いもかけなかった言葉の数々と掘出しもの、即時の所有。≫(小林秀雄訳 岩波文庫)

(承前)
 モルジュでは朝市が週二回開かれますが、葡萄畑に遠足に行く朝に行ってみました。調理せずに食べられるものを調達しなくちゃ・・・
朝市1j
 野菜の色とりどり綺麗なこと。思わず、場所を間違えて、普通にお買い物をしそうになったくらい、食指ののびるものが多かった。野菜や果物、パンにチーズ、サラミやソーセージ、手作りジャムや、ハーブティ・・・
 美味しいプルーンとミニトマト、それに牛肉のサラミ(他に、豚肉、鹿肉がありました)を買いました。手作りリップクリームも買いました。
 京都錦市場で、干物や京野菜を、写真に撮っている外国人とまったく同じ。
            スイカとチーズj
さらみj
☆写真は、モルジュの朝市風景です。スイカの写る写真は、大型車で来て、チーズと肉を売ってました。スイカとチーズの取り合わせ。うーん。写真一番下の若いお兄ちゃんがやっているサラミ専門の出店で、サラミを購入。試食させてくれるとき、自分の分も切っていたのが楽しかった。

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右手に、夏の曙は

          もるじゅだりあ2j

ランボオ「轍」
≪右手に、夏の曙は、この公園の片隅の木の葉や露や物音を目覚まし、≫(小林秀雄訳 岩波文庫)

(承前)
 レマン湖は、相変わらず、優雅に美しくありました。
 今回は、モルジュという街に泊まりました。スイス報告初日に使ったモンブランの写真は、ここで撮りました。
 モルジュは、花の街というキャッチフレーズ通り、湖岸沿いの遊歩道には延々、今を盛りと、ダリアの花が咲き誇っていました。
もるじゅだりあ1j
 このダリアたちの花壇にそれぞれ、番号がふってあるのは気づいていましたが、次の朝早くから一斉に、分担の場所を、お世話をなさっている方々を見ました。それぞれの花壇に自信と誇りを持って、手入れなさっている姿に、ちょっと感動しました。ダリアも幸せものです。

                    働く人j

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青空などは暗いのだ。

はなj
ランボオ「飢え:地獄の季節」
≪ああ、遂に、幸福だ、理智だ、俺は天から青空を取除いた。青空などは暗いのだ。俺は自然の光の金色の火花を散らして生きた。≫(小林秀雄訳 岩波文庫)

 (承前)
 多分、シーニッゲ・プラッテ植物園に行っても、遠くの山々は見えないだろうと思っていましたが、結構長く乗る登山列車ものんびりできるので、行ってみました。案の定、遠くはなーんも見えませんでした。
 途中のホドラーポイントからのトゥーン湖も、すっきりせず、またもや残念。
ホドラーポイントj
 が、ホドラーポイントほど近く、チーズを山小屋に運ぶ女の人。先導するのは黒い犬。働く人は皆りりしい。
チーズと馬j
               犬と馬j
☆写真は、シーニッゲ・プラッテ植物園のエリンギウム・アルピウム(セリ科)、ホドラーポイントの向こうのトゥーン湖、途中見かけた働く人。

 

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